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  • 2025.08.27

M&Aについて「悪意のある買い手を回避する方法 」

悪意のある買い手を回避する方法 ― 安心してM&Aを進めるために

M&Aは経営者にとって、人生の集大成ともいえる大きな意思決定です。
大切に築いた会社や従業員を、信頼できる買い手に託したいのは当然のこと。
しかし中には、悪意や短期的な利益だけを目的とする買い手も存在します。

本記事では、大和経営が親身に寄り添いながら培ってきた経験をもとに、
悪意のある買い手を回避し、安心してM&Aを進めるためのポイントをご紹介します。


1. すぐに決めず、時間をかけて相手を知る

悪意ある買い手は、早く契約を迫る傾向があります。
焦らず複数回会うことで、言動や人柄の一貫性を確認することが重要です。
また、相場より好条件を提示してきた場合も注意が必要です。短期で即決を迫るケースは、後に不利な条件を追加してくることもあります。


2. 基本情報を徹底的に調べる

  • 登記簿の確認:役員の入れ替わりや沿革、契約締結権限を有するか確認

  • 帝国データバンク・東京商工リサーチの活用:過去の支払遅延や倒産履歴を確認

  • WEB検索:HP、SNS等で過去と現在の各人物の人柄・価値観・行動、そして、企業活動の各口コミの確認

  • コンプライアンス調査:譲り受け側および関係者(役員・株主)が反社会的勢力に該当しないか、過去にM&Aでトラブルを起こしていないかを確認

  • 非公式ルートでの評判確認:同業者や取引先から「業界での信用」を裏取り

事前調査をしっかり行うことで、安心して次のステップに進めます。


3. 直接、人となりや価値観をヒアリングする

経営判断や人材の扱い方を聞く

  • 自分と異なる価値観をどう捉えるか、どう活かすかを確認

  • 複数回の食事を通じて普段の姿を観察

  • 家族関係や家庭での価値観を聞く

  • 大変だった時の乗り越えエピソードを聞く

こうしたヒアリングは、売り手が安心して事業を託せるかどうかを判断する重要な材料です。


4. 財務・資金の健全性と事業相性を確認する

  • 財務内容の確認:買収資金が確保できるか

  • 資金の出どころを把握:自己資金か借入依存か

  • 人事の確認:従業員の定着やトラブルの有無、担当M&Aアドバイザーに他のM&A会社の担当者に対象会社との取引時の印象を確認してもらう

  • 最終契約履行可能性の確認:可能であれば、財務諸表・預金・融資証明書をもとに譲渡対価の支払い能力を確認

  • 事業実態の確認:商業登記簿・事業所・Web地図で実態を把握し、契約締結権限を有するか確認

  • ビジネスモデルの関連性:シナジーがあるか

  • 双方の弱みの補完性:不足部分を補えるか

財務面と事業戦略の両方から、安心できる相手かを見極めます。


5. 双方の要望とリスクを契約に落とし込む

双方の幸せを見越し、契約書に明文化することが大切です。

  • 良い時・悪い時の対応

  • 従業員や取引先への配慮

  • リスク顕在化時の責任分担

  • 過去クレームや業界内評価の反映

事前にルールを決めることで、安心してM&Aを進められます。


6. 複数回の交渉で誠実さを確認する

1〜2回の面談では本質は見えません。
複数回交渉を重ねることで、柔軟性や誠実さが見えてきます。
また、交渉中の情報の扱い方にも注目しましょう。
秘密保持契約(NDA)を軽視したり、必要以上に内部情報を欲しがる相手は注意が必要です。


7. 専門家との相談と第三者保証(エスクロー)で安全性を確保する

大きな取引金額を安心して進めるために、第三者保証(エスクロー)を活用します。

  • 弁護士エスクロー:契約条件を確認し、履行後に資金を移動

  • 銀行エスクロー:銀行が中立的に資金を預かり安全な決済を保証

  • 信託銀行エスクロー:資金の分別管理と履行担保を実現

さらに、弁護士・会計士・M&Aアドバイザーなど各専門家を前向きな意見、リスクを見越した意見などを交えることで、安心感が高まります。


8. 長期的視点で未来を共に描く

M&Aの成約は「終わり」ではなく「始まり」です。

  • 従業員が安心して働ける未来

  • 顧客に継続して価値を届けられるか

  • 企業文化や経営者の思いを尊重できるか

こうした長期的な視点を持てる買い手こそ、双方の幸せを実現できるパートナーです。


まとめ

悪意のある買い手を回避するには、上記の「調べる」「会う」「聞く」「第三者に確認する」のプロセスに加え、

  • 非公式ルートでの評判確認

  • 条件が良すぎる場合の警戒

  • 情報管理の姿勢チェック
    といった実務的な視点も欠かせません。

さらに、

  • 要望とリスク回避策を契約に明文化

  • 専門家と金融機関との相談及び活用

  • 長期的視点で未来を描く

を意識することで、安心してM&Aを進めることができます。

お問い合わせ | 大和経営

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