- M&Aの成約ストーリー
- 2025.12.20
数字では測れない価値をつないだM&A ― 人と未来を信じて進んだMarriage & Alliance ―
M&Aの実務、実例について
― Marriage & Alliance(結婚と同盟)としてのM&A ―
一組のM&A(Marriage & Alliance/結婚と同盟)のご縁作りを終えて、
ほっと一息しています。
ただ、まだ「結婚したばかり」です。
これからが、あらためてお互いの良い部分を認め合い、違いを活かしながら、
単独では成し得なかった仕事や結果を生み出し続けていく、本当の始まりだとお伝えしています。
仲人の立場としては、
これからもずっと心配であり、
何かあれば寄り添い続けたい、そんな気持ちでいます。
このご縁は2月から始まり、
ネームクリアを経て、5回以上の食事会を重ねてきました。
その中で、
職業観・経営観・人生観、
それぞれの強みや抱えている課題、
共に働いたときにお互いが提供できる価値、
営業部門、新サービス開発、会社運営、
さらには双方の社員の活性化まで、
本音で語り合う時間を積み重ねてきました。
回を重ねるごとに部門責任者の方々にもご参加いただき、
成約前でありながら、
「共に働けることへのワクワク感」や
「熱く、楽しい未来」が、
売り手様・買い手様双方から自然と伝わってくる時間となり、
私自身もとても嬉しい気持ちでした。
一方で、M&Aには想定すべき現実も多くあります。
楽しいやり取りを大切にしながらも、
お互いの経営実態をより明確にし、
明るい未来を具体的に描けるようにするため、
デューデリジェンス的な質疑応答も丁寧に行いました。
具体的には、
・経営数値
・集客の仕組み
・契約済み顧客名簿
・見込み顧客、過去の取りこぼし顧客名簿
・個人が保有するスキルの報告書
・簿外債務の有無
・未払い残業の確認
・将来トラブルになり得る取引の報告
・そして、ラブレターのようなメッセージ
これらを同時に提出・共有していただきました。
また、売り手様からも買い手様に対し、
人事制度、賃金制度、その他の確認事項について調査を行い、
お互いが納得できる内容を一つひとつ確かめながら、
「心」と「経済」の双方が満足できる
株式譲渡契約書の作成を進めていきました。
情熱的で楽しい側面と、
リスク回避と経済的な納得を求める冷静な側面。
その両立については、
親身に寄り添ってくださる素晴らしい弁護士の先生のご支援を受けながら、
契約締結日の朝までやり取りを重ね、
無事に契約締結に至りました。
交渉の「勝ち負け」ではなく、
売り手・買い手双方が幸せになる契約内容を、
一緒に作り上げること。
それを共通目標、共通の仕事として向き合っていただけたことが、
今回のM&Aの大きな価値だったと感じています。
契約締結日にも、改めて食事会を行いました。
ここまで共に頑張ってきた仲間として、
そして、これから一緒に力を合わせていく戦友として、
絆を再確認する時間となりました。
今回は仲介という立場でしたので、
お互いの不安、期待、リスクに対する本音をお伺いし、
その内容を柔らかく相手方へお伝えすることで、
気持ちを理解し合い、
お互いに譲歩し合う場面を直接作れたことも、
仲介だからこそできた役割だったと感じています。
FA(ファイナンシャル・アドバイザー)として
クライアント利益を最優先にする立場であっても、
売り手・買い手が共に歩む
「幸せなパートナー探し」と
「後悔のない契約書」というゴールは、
同じだと考えています。
FA同士であっても、
それぞれがクライアント利益を背負いながら、
良いゴールを共通目標として向き合える相手であれば、
とてもやりやすいと感じています。
今回の売り手様は、
売上・利益・内部留保・人数といった数値だけで見れば、
決して大きな会社ではありません。
しかし、買い手様は、
未来の売上や利益、
組織や人の活性化、
商品・事業開発の可能性に加え、
売り手様の「人の価値」、
そこにいる一人ひとりの価値観やスキル、
共に歩む未来に、大きな価値を見出してくださいました。
M&Aは、買い手様の
経営哲学・人を信じて活かす力・経済力・事業推進力など、
様々な要素が求められますが、
今回の買い手様は、それらをお持ちであり、
信じて共に歩みたくなる方がいる、
素晴らしい企業様だと感じさせていただきました。
結果として、
売上規模が30倍以上の買い手様に、
役員様には高いポジションを、
社員の皆様には大きな安心と活躍の場をご用意いただき、
新たなステージへ進まれることとなりました。
長くなりましたが、
ニュースにはならない、
東京で成約した一つのM&Aの実例です。
M&Aは、多くの人の幸せと発展につながる
大きな力を持った仕組みだと思いますが、
各工程を繊細に配慮しながら進めていくことが、
何よりも大切だと感じております。
・M&Aにご興味のある方
・売り手、または買い手として進めようとしている方
・M&Aを支援する立場の皆様
・M&Aを検討・実行している知人がいる方
この実例が、
様々な立場の皆様が幸せになるための一助となれば、
これほど嬉しいことはありません。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
株式会社 大和経営
代表取締役 灘井 新嗣