- M&Aについて
- 2025.10.04
M&Aを円滑に進める鍵 ― デューデリジェンスを同時進行するメリットとは
はじめに
M&A(企業の合併・買収)において欠かせないプロセスのひとつがデューデリジェンス(Due Diligence:企業調査)です。
通常は基本合意後に行われることが多いですが、実はM&Aのプロセスを進めながら並行してデューデリジェンスを進めることで、売り手・買い手双方にとって大きなメリットがあります。
本記事ではM&Aアドバイザーとしての実務経験から、デューデリジェンスを同時進行で進める効果とメリットについて解説します。
デューデリジェンスを同時進行で進めるメリット
(対象領域:ビジネス・財務・税務・人事・労務・法務・不動産・知財・環境・IT・ガバナンス など)
1. M&Aにおける経営方針を踏まえた対話の促進
通常、ノンネームシートや企業概要書はある程度デューデリジェンスを踏まえて作成されます。
しかし実際には、売り手の心情やコストの都合により、情報開示が限定的な場合も少なくありません。
そこで早い段階から調査を進めることで、売り手は実態や想いを正しく伝えられ、買い手は企業の実態を理解しながら経営方針や理念を踏まえた対話が可能になります。
結果として、売り手の「想い」と買い手の「戦略」を重ね合わせやすくなります。
2. M&Aにおける課題発見とシナジー最大化
調査の過程で、将来的な課題や強みが早めに見えてきます。
・売り手にとっては「どこを改善すれば買い手に評価されるか」が明確に。
・買い手にとっては「シナジーをどのように活用できるか」を早期に検討可能に。
これにより、統合後の成長スピードを加速できます。
3. M&Aスケジュールの効率化と時間短縮
契約交渉とデューデリジェンスを同時に進めることで、クロージングまでの全体期間を圧縮できます。
売り手は早く安心を得られ、買い手は資金調達や統合作業をスムーズに開始できます。
4. デューデリジェンス費用の軽減
事前に重要論点が整理されていると、専門家による詳細調査が効率化されます。
結果として、売り手・買い手双方の費用負担が軽くなります。
5. 双方のストレス軽減
基本合意後に新たな問題が発覚すると、マイナス要素として受け取られやすく、双方に不安が生まれます。
並行して確認を進めることで、「次は何が出てくるのか」という不安を減らし、安心感を持って交渉を進めることが可能になります。
6. 条件交渉の円滑化
根拠ある情報が早い段階で揃うため、価格や契約条件に関する議論が感情的にならず、スムーズに進みます。
7. クロージング確度の向上
調査の遅れによる破談リスクを軽減し、最終契約まで到達する確率を高めることができます。
8. 従業員・取引先への安心感
「十分に確認されたM&A」であることが伝わると、売り手企業の従業員や取引先に安心感を持ってもらえます。
結果として、PMI(統合プロセス)をスムーズに進める土台が整います。
9. 資金調達・金融機関対応のスピード化
買い手が金融機関に融資を依頼する際、デューデリジェンス結果が早く揃っていると、審査・承認が迅速に進みます。
10. PMI(統合準備)の前倒し
調査で明らかになった課題を早めに共有できるため、クロージング直後から統合作業(PMI)をスムーズに開始できます。
大和経営のスタンス
大和経営では、「三方よし」のM&Aを理念に掲げ、売り手・買い手・地域社会すべてが納得できるM&A支援を目指しています。
単なる仲介ではなく、早期からの丁寧なデューデリジェンス支援を通じて、安心で円滑なM&Aを実現します。
まとめ:デューデリジェンスは「同時進行」でこそ効果を発揮する
M&Aを成功させるためには、スピード感と安心感の両立が欠かせません。
・経営者同士の信頼関係を深める
・取引の不確実性を減らす
・クロージング後の統合をスムーズに進める
これらのメリットを活かすためには、基本合意を待たずに柔らかいQ&Aを通じて、同時進行でデューデリジェンスを進める姿勢が非常に有効です。
M&Aをご検討中の経営者様は、ぜひ「早めの準備」と「並行進行」を意識してみてください。