- 灘井社長のひとりごと
- 2025.04.10
灘井社長のひとりごと 108話「M&Aにおける『考える時間の重要性』について」
すべての人を家族と思い歩んでいる灘井です。
今日のテーマは、「M&Aにおける『考える時間の重要性に』ついて」です。
今回のテーマに至った理由は、M&Aすることをすぐ目的が達成できる期待が大きくなって、M&Aすること自体が目的にならないように心掛けていただきたいと思ったからです。
M&Aにおいて「考える時間」が重要である理由5つ
1. 感情だけでははなく、戦略もしっかり考え判断するため
M&Aでは、人間関係や感情が大きく影響する場面がたくさんあります。
特にオーナー企業の譲渡においては、「今すぐ決めてほしい」と迫られたり、情に訴えるような話が出てくることも少なくありません。
私も、かなり志や想いを大切にしている人間ですが、
想いだけでなく、“戦略的に考える力”もまた、成功の鍵を握ります。
だからこそ、そうした場面においても、一歩引いて冷静に判断するための「考える時間」が必要なのです。
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2. 全体像を俯瞰し、選択肢を整理するため
買い手・売り手・社員・顧客・取引先など、M&Aにはたくさんのステークホルダーが関わります。
その全体像をしっかり見渡し、それぞれにどんな影響があるのかを冷静に整理することが大切です。
中長期的に見て、何が最善の選択なのかを考えるためにも、即断ではなく、「じっくり考える時間」が欠かせません。
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3. “本当の目的”を見失わないため
M&Aの交渉が進んでいくと、どうしても条件や数字ばかりに目が行きがちになります。
でも大事なのは、
「なぜM&Aをするのか?」
「どんな未来を実現したいのか?」
という本質的な目的を見失わないことです。
そのためには、定期的に立ち止まり、自問自答したり、信頼できる方と対話する時間が必要だと思っています。
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4. スピードと“間”のバランスが成果を左右する
M&Aの現場では「スピード感」が大事だ、とよく言われます。
確かにスピードは重要ですが、それだけに偏ってしまうと、誤った判断をしてしまうこともあります。
「ここぞ」という場面では、あえて“考える時間”をとることで、交渉を優位に進めることも可能です。
将棋や囲碁のように、相手の出方を見ながら間合いをとる。そんな駆け引きができるかどうかも、大切な要素です。
ただ、最終的にM&Aが成約した後は、共に歩み、想いと事業を託していく関係になります。
ですので、駆け引きの中でも、品格とユーモアをもって、「自分も良し、相手も良し、社会も良し」の三方良しとなる良い契約につなげることを心掛けていく姿勢が、私は何より大切だと思っています。
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5. 相手との信頼構築にもつながる
しっかり考えたうえで提案や判断をする姿勢は、相手に「この人は誠実だな」「信頼できるな」と感じてもらえるものです。
全体の幸せを真剣に考えているからこそ、“即答しない”という判断が、逆に誠実さを伝える手段にもなるのです。
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必要なのは、「今すぐ答えを出すこと」ではありません。
“より良い未来のために、考え抜くこと”こそが大切です。
M&Aを仕事とする私たちも、M&Aを選択される当事者の皆さまも、
まさに「考える力」が問われる場面に日々向き合っています。
だからこそ、“考える時間”を意識的に持つことが、より良い未来を創る第一歩になるのではないかと思っています。