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  • 2025.06.06

経営支援「組織に求められる「心理的安全性」の大切さ」大阪 経営アドバイザリー会社 大和経営

組織に求められる「心理的安全性」の大切さ

〜数字も、成長も、チームワークも。そのすべてを支える“見えない土台”〜

現代のビジネスにおいて、「成果を出す」「成長する」「チームで連携する」「本音で語り合う」といった要素は、もはや前提条件になっています。これらを当然のものとして捉えた上で、今、世界中の優れた組織が注目しているのが「心理的安全性(Psychological Safety)」です。

この概念を体系化し、広めたのが、ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・C・エドモンドソン教授です。彼女の研究は、「心理的安全性が高いチームほど、学習力・創造性・成果が高い」ことを科学的に明らかにし、多くの企業文化に革命を起こしました。

■ 数字を出す組織にこそ、心理的安全性が必要な理由

エドモンドソン教授の定義によると、心理的安全性とは「チームの中で、自分の意見を表明しても罰せられたり恥をかかされたりしないと信じられる状態」のこと。

Google社が実施した大規模なチーム研究「プロジェクト・アリストテレス」でも、成功するチームに最も重要なのは『心理的安全性』だったという結論が出ています。「成果主義」を掲げる組織ほど、この土台がなければ、表面的な報告や迎合が増え、本当の問題が語られなくなります。
結果として、早期の軌道修正ができず、数字の達成からも遠ざかるのです。

■ 成長し続けるには、「安心して挑戦できる環境」が欠かせない

「成長」は失敗と挑戦の繰り返しから生まれます。しかし、心理的安全性が欠如した組織では、人はリスクを避け、無難な選択に終始します。

エドモンドソン教授の研究では、失敗を正直に報告できる環境こそが学習を促進し、組織を成長させると指摘されています。心理的安全性は「甘え」ではなく、「チャレンジを生む信頼の土壌」なのです。また、スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授の「成長マインドセット」の理論も補強材料となります。人が「失敗を学びに変える」思考を持つためには、まず心理的に安心できる土壌が必要なのです。

■ チームワークは「信頼」と「弱さの共有」から始まる

強いチームの原動力は、「能力」や「役割分担」だけではありません。自分の弱さや不安を見せても大丈夫、という関係性があってこそ、助け合いが自然に生まれます。エドモンドソン教授は、効果的なチームでは「相互信頼」と「対話の自由度」が共存していることを強調しています。
この関係性は、チームメンバーが自分の意見を持ち寄り、責任を分かち合う文化を生み出します。

■ 真のコミュニケーションは「安心のある対話」から生まれる

表面的な会話ではなく、本質的なコミュニケーションを実現するには、「立場を問わず自由に話せる」空気が必要です。
心理的安全性が低い環境では、上司やリーダーに気を遣い、率直な意見やフィードバックが出てきません。心理的安全性のあるチームでは、意見の違いが“対立”ではなく“対話”になるのです。これこそが、持続的に創造性を高め、真の課題解決を生むための土壌になります。

■ 結びに:成果を支える「見えない資産」

数字、成長、チームワーク、真のコミュニケーション。
これらを高いレベルで実現し続ける組織に共通するのは、心理的安全性という「見えない資産」の存在です。

エドモンドソン教授は言います。

「心理的安全性は“ぬるま湯”ではない。“率直に語り合い、高め合う”ことを可能にする厳しくも信頼ある関係性である」

今、求められているのは「ただ優しいだけの環境」ではなく、本気で結果を出すために、全員が意見を出せる“強いチーム”をつくること。その鍵が、まさに心理的安全性なのです。

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